熊本弁

熊本弁で育ったので標準語で言おうとして適当な言葉が見つからなくてムズムズしたことがある。


たとえば「しゃんむり」。
〔例〕「おい、今文句言うたやつ、運動場ば5周走ってけー」
   「えー!しゃんむりですか」
   「おーっ、しゃんむりたん」
   (書いてて何か分からなくなりそう・・・)

しゃんむりは遮二無二の訛ったものかもしれないがニュアンスは違う。絶対とも違う。もうちょっとルーズな、でも結局やらざるをえないような、滑稽な優しい感覚があるんですが、これ読んでる人には伝わるまい。残念!


敬語(というか謙譲語?)・・語尾の一字で簡単に敬語になる。
お客様なら普通に使えるが家族ではどうか。

例えば「何をするんだ」と言いたい
「何すっとや」・・友人、同格、または目下。
「何すっとな」・・目上
「何すっとね」・・女言葉、目上目下への優しい言葉、親しい人
「何すっとか」・・男言葉、目下への優しくない言葉、親しい人、喧嘩言葉
「何すっとですか」・・こりゃ敬語、目上(家族以外の)、お客さん

例が良くないね、言いたいのは家族で使える敬語があるということ。

つい先日、久しぶりに叔母に会い話をしながら感じた事だ。以前のように熊本弁なら普通に話せるが、標準語になるとなかなか難しいのだ。東京に住む20も若い従兄弟などは叔母に向かっても対等にしゃべっている。(タメ口というやつですな)

「叔母ちゃん、久しぶりに東京に来たから時間があれば会わない?ご飯でも食べようよ」・・これでもいいんだろうけど。

「叔母ちゃん、久しぶりぃ東京に来たったい、時間のあんなら会うて飯なっとん食わんな」・・あーこっちのほうがちょっとホッとする。

「叔母ちゃん、久しぶりぃ東京に来たったん、時間のあんなら会うて飯なっとん食おか」・・こりゃタメ口、叔母ちゃんには言わない。



熊本弁には家族の中で使える親しい人への敬語も男言葉も女言葉もある。相手によって細かく使い分けることができる。標準語にもそういう言葉はあるのだろうか。少なくともドラマなどを見ると親に対してはタメ口だ。それで違和感がないからなのか、うちの子供たちも僕に対してタメ口である。

ははは・・もう小遣いなんぞやるもんか。