SUVって何だよ


SUVってクルマのジャンルがあります。
SportsUtilityVihicleでSUV、日本でも流行っているでしょう。
スポーツするのに使い勝手のいいクルマって程度のことだと思いますが、これがSUVだという明確なジャンルがあるわけじゃないです。

元はアメリカ、70〜80年代のサーファーがピックアップやワーゲンバス
なんかにポイッとボードを積んで走っていたのが始まりです。
その自由な雰囲気とともにクルマのスタイルにも注目されるようになってトラックにシェルをつけたフォードブロンコなんかが発売されます。

スポーツするのに使い勝手がいい・・・
道具をたくさん積めるようにバンタイプで
人も乗るからルーフレールつけて屋根にも積めるようにして
いろんな場所に入っていけるように四輪駆動で

それランクルじゃん


まあそうなんですけどね。

ところが90年代の終わりにBMWがX−5を出してから様子が変わってきました。
妙にスタイリッシュなんですな。
サーフボードやMTB!?そんな汚れもん積むんじゃねーみたいな。
スポーツの使い勝手なんざどっかに行っちゃって大きなボディー、豪華な室内、ワイルドを装った高級ワゴンとして人気が出ました。

ベンツやWV、アウディ等、ヨーロッパのメーカーが後追いして本家アメリカでも本来のスポーツと無関係なキャデラックでSUVをだしますな。

その頃、商売の手法としてSUVなる言葉が使われだすんですね。
まさに本末転倒、嘘んこSUV。

車はいいんですよ。高い視点は開放的で安心感があるし、街中の多少の段差も気にしないで行けます。女性は運転しやすいんじゃないでしょうか。ノーマルセダンにはないステータスもあるし。

でも、スポーツとは関係ないよね・・・と俺は思う。

さて、中国ですわ。

中国でも長城汽車のナントカって小型SUVが月に1万2千台売れてるとかで、どこのメーカーも必死にSUVを売り出しました。一汽でも去年おっきいのとちっこいの2車を出して大儲けしよう企みましたがどうも芳しくないようです。(特にうちのが)

天津一汽、駿派D-60のいったい何がいかんのか考えてみます。

やりたいことは解るが出来てみて本当にやりたかったのが何なのか分かんなくなっちゃったようなサイドビュー。

大体スケッチプレゼンの時に意見を求められて、正直にKIAやHYONDEに似てるけど一汽らしさをどう考えているのか質問したときから危惧したとおりの展開。
イタリアンが小ジャレたスーツを着て当時出だしのi-Padとかヒラヒラさせて、くっだらねー事を自信満々にしゃべっているのが気にくわななかったんだよ。

キャラ線が複雑なのにそれを支えるような安心できる立体がない。ボデーピークを少し下げて明るい面の中でキャラが遊ぶのならあったかも。ルーフの後ろ下がりも急すぎて不健康だ。

腰下の異様なボリュームとちっちゃいガラス。
手塚治虫の空気ブタみたいなあれ。


こいつの一番アホなところ、フード。何だこのダルな稜線は!
フード見切りと稜線のえもいえぬ嫌な幅の変化、しかも力感を表現するのに一番大事なフェンダートップを見切りで切っちゃってどうすんのさ。
とどめに意味不明のバルジ・・あー、こういうのCADだと簡単にできちゃうんだよね的な、でもちっとも統一感がない
このデザインには方向性がないのですよ。

これ、イタリアのピニンファリーナのデザインですよ。
歴代フェラーリをデザインし続けるデザイン界のレジェンド。
それがこれかよ!なんか適当にシュッシュッて線がはいってるだけじゃん。
レジェンドは死んだのか?

そうじゃないんです。今でも欧州で発表するクルマはいいんです。

中国ではこんなもんなんです。
僕が考える理由は二つ。

1:白人のボッタクリ。
彼らを含むすべてのデザイン事務所、デザイナー、モデラー、材料屋等々 みんなが中国で儲けようと躍起になっています。またイタリアブランドは中国人にとってステータス。だから白人は手抜きデザインをばら撒き、中国人は訳も分からず買っちゃうんです。

2:デザイン決定システムの欠如。
どの案に決定するかはいいデザイナーを雇うよりも重要なプロセスですが、ここでは社員の人気投票によって候補が絞られ社長の一存で決定します。そこには目標や選考の理由などは曖昧で、ただ「好看」「不好看」の感想しかありません。なぜこの案でなければいけないのか、その案の核心が何か、変えていいところ死守すべきところ、そういう概念的な話をしないんです。
デザインはいろんな条件によって妥協せざるを得ません。しかしデザインの意味を考えないと提供された案を量産に持っていくまでのデザイン管理ができない


そんなわけであんなもんが期待の新車として売り出され、目標の2割に満たない売り上げで四苦八苦する羽目になるんですな。今時月産一万台の目標もどうかと思いますがね。発売時、僕はもしこの車がたくさん売れるようなら僕はこの会社にいる意味がないと宣言しましたが、未だに居るのはそのためか?

天津一汽、駿派D-60はSUVとしては力感がない。
SUVと言わずハイライズドスペシャリティとでも言っておけば新しいジャンルとしてちっとは言い訳できたかもしれないです。
BMWの車高の高いGTとかそのジャンルはすでにできてきているし。

中国にはこんな素晴らしいSUVがあるぢゃないか。


あー!

こんなのもある。