一人で家に居る時間が長い。
仕事が立込んでいる時ならなおさらだ。
そんなときに電話がかかってくる。
｢北海道の○○善と申しますが、以前注文いただいた方に利尻昆布を無料でプレゼントしています｣
昆布なんざどうでもいいが、そういえば出汁昆布がちょうど切れてたな・・・
｢ただで呉れるってんなら貰ってもいいが・・・｣
しかし、いくら30周年キャンペーンだからってただで昆布だけ貰うのも気が引ける。
「なんか他にお薦めの商品はないの？」
「ございますよ〜、カニなんかいかがですか？」
「今ならセット価格１２，６００円でカニをお送りできますが」
カニは要らん、二人暮しに１２０００円ものカニは食えん。
・・・そのときふっとＢＳで宣伝していた、大衆演劇役者と目のギョロッとした狸似の女優さんが宣伝しているカニ入り松前漬けが頭に浮かんだ。
好きなんだよ、松前漬け。
「松前漬けない？」
「ありますとも、自慢の商品でセット価格１２，６００円でお届けできます」
お？これも１２６００円かい？
・・・う〜ん、高い。
でも本場松前漬けってのに惹かれる。
朝のＢＳで見た松前漬けが目に浮かぶ。
アレで一杯やったら美味そうじゃ。
間の悪いことに、もうすぐ振り込みもある。
「じゃあそれをください」
「有難うございます、それでは２３日にお届けしますので着払いのご用意をお願いします」
そして届きましたよ。
これが
松前漬けがふたつ。昆布はプレゼント。そのほかに、塩から、イカ飯、ホッケの干物。
俺がいかに田舎者でこの手の商品の値段が判らないといっても、これはわかる・・・ていうか、これだけ買うのに５０００円以上は出さない。
いくら旅行気分で財布の紐がゆるくなっていたとしても。
一人自宅を守っていても若い女の電話にはつい真面目に対応してしまうのが悲しい。これは家内に馬鹿にされるレベル。
こんな失敗もある。
